生前贈与を知る

教育資金贈与の非課税制度とは?仕組みと利用上の注意点

Tags: 生前贈与, 贈与税, 非課税, 教育資金, 相続

はじめに

「生前贈与」と聞くと、相続税対策やまとまった財産の移動というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、生前贈与には、大切なご家族、例えばお孫さんやお子さんの教育費を援助するための便利な非課税制度があるのをご存じでしょうか。

これから、お孫さんやお子さんの将来のために教育資金を贈与したいとお考えの方に向けて、「教育資金贈与の非課税制度」について、その仕組みや利用する上での大切な注意点を分かりやすくご説明いたします。この制度を正しく理解し、安心して教育資金の援助を行うための一助となれば幸いです。

教育資金贈与の非課税制度とは?

この制度の正式名称は、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」と言います。少し長い名前ですが、簡単に言うと、おじいさまやおばあさま(直系尊属といいます)から、お孫さんやお子さんへ、教育のために必要な資金をまとめて贈与した場合に、贈与税がかからなくなる制度です。

この制度のメリット

教育資金贈与の非課税制度を利用する主なメリットは以下の通りです。

利用上の大切な注意点

便利な制度ですが、利用する上ではいくつか注意しておくべき点があります。

手続きはどのように進めるの?

制度を利用するための大まかな流れは以下のようになります。

  1. 金融機関を選ぶ: この制度を取り扱っている金融機関を選びます。
  2. 専用口座を開設する: 贈与を受ける方(お孫さんやお子さん)名義で、選んだ金融機関に「教育資金管理契約」を結び、専用の口座を開設します。
  3. 贈与資金を入金する: 贈与したい資金を専用口座に入金します。
  4. 税務署に届出をする: 口座開設後、定められた期限までに、必要書類を添えて税務署に「教育資金非課税申告書」を提出します。この申告書は、通常、口座を開設した金融機関を経由して提出できます。
  5. 教育資金として引き出す・証明する: 教育資金が必要になったら、専用口座から資金を引き出し、領収書などを金融機関に提出して手続きを行います。

手続きの詳細については、各金融機関の窓口で丁寧に説明を受けることができますので、まずは金融機関にご相談いただくことをお勧めします。

まとめ

教育資金贈与の非課税制度は、お孫さんやお子さんの教育を経済的に支援したいとお考えのご家族にとって、非常に有効な手段となり得る制度です。最大1,500万円まで非課税で贈与できる点は大きなメリットですが、利用するには金融機関での手続きが必要であること、教育資金の範囲に制限があること、使い残しや贈与者の死亡時に課税される可能性があることなど、いくつかの注意点があります。

この制度の利用を検討される際は、制度の仕組みやご自身の状況をよく理解し、疑問点があれば税務署や税理士などの専門家、または取り扱い金融機関に相談することをお勧めします。計画的な教育資金の準備のために、この制度を上手に活用されてはいかがでしょうか。